悪い夏

文庫本で読みました。

生活保護という制度について考えさせられる話でした。

受給する人とその手続きをする役所の人が

結局、働けないと主張する立場と普通に組織で働いている立場

なので、話が嚙み合わないという感じ。ですかね、客観的に。

なぜ普通に働こうとしないのか、と普通に働いている人は思う。

けれど、やはり普通に働けていれば生活保護の申請には絶対に来ない。

やはり健全ではない何かしらの事情がある、と思う。

「それができたら苦労しないよ」という何かがあるのでしょう。

早起きできない、働くという気力が湧かない、など。

それを甘え、という単純な一言で済ませていいのか、微妙なところで

一人一人、状況、環境も違うところがまた難しい。

と言っても私はケースワーカーでも精神科医でもカウンセラーでもないので

悩む必要はないのですが😅

印象的だったのはヤクザで一番のワルみたいな奴が「底辺の生活を送っている奴らは

全員、生活保護を受けるべきだ、その権利があるはずだ」ということを言ったこと。

結局、突き詰めればそういうことになるのか。

日本ではこの制度がある限り餓死せずに必要最低限

しかも文化的な生活を送る権利が国民に保障されている、

すごいことです。

自分にはまったく関係ないと思っている人もいると思うけれど

私の場合、夫が何かしらの理由でいなくなったら私がフルで働きますが

私も体を壊し働けなくなれば、あっという間にそういう話が出てくるでしょう。

親は年金暮らし、兄弟もそれぞれ家庭があり、頼れる人はいない、という事態になる。

このような制度があるという知識は

ないよりはあった方がいいでしょう。

それにしても主人公の闇落ちぶりが、

すごくて笑えない。笑